流産の治療としては、妊娠継続の可能性がある切迫流産の場合は出血や下腹部痛を少なくするために安静が第一です。また止血剤やホルモン剤を内服や注射をしたりする場合もあります。しかし胎児を元気にする方法はありません。いくら治療をしても胎児の生命力がなければいずれ流産ということになり、少々の出血があっても生きるべき胎児なら育つものです。流産の治療の一つに流産手術がありますが、妊娠のごく初期と子宮内容がほとんど子宮外に出ている場合は手術の必要はありません。しかしその時にまれに多量に出血をしたり、運悪く子宮内感染が起きることがあり、そのようなトラブルを避けるために手術があります。特に稽留流産の場合は、予期せず多量に出血をすることもあり、またそれがいつ起こるのか分かりませんし、その間不安な気持ちで過ごすのも辛いことですので手術を勧めています。
流産や流産手術のあとは感染を防ぐための抗生物質、早く子宮を元の状態に戻すための子宮収縮剤を内服します。流産のあとは子宮内膜も正常ではありませんし、感染の起こりやすい時期ですので、次回の月経まではコンドームを使用し、妊娠しないようにお話しています。しかし、一度月経が来れば月経は子宮内のそうじと同じことですので、心配せずに早く次の妊娠をされたらよいと思います。
流産はそのご夫婦にとって、とても悲しい出来事です。妊娠だとわかって喜んでいた矢先、出血が突然起こり流産してしまった方、何の自覚症状もないのに、超音波検査で赤ちゃんがなくなっていると指摘された方、さぞかし落胆されたことと思います。しかし流産はかなり高率で起こること、流産の原因の相当数は妊卵の偶然の異常であり、その原因はご夫婦にはなく、たまたま不運であったに過ぎないことを理解してください。そしてその治療法としては流産に対する不安感を持ちながらも頑張って妊娠するしかないのです。